MENU

淡々と、そして徹底的に描かれる戦争:『ブラックホーク・ダウン』感想

【スポンサーリンク】

こんにちは、ポルスクです。

今回は、『ブラックホーク・ダウン』という映画の感想について書いていきます。

ネタバレ全開ですのでご注意ください。

「戦争 映画 おすすめ」とかで検索するとかなりの割合でヒットする本作なんですが、どれほどのものなのかと思い、遂に観てみました。

 

観てみたら、壮絶な戦闘シーンはもちろんですが、そのほかにも多くの映画とは一味違った凄さがありました。

 

ということで、さっそく書いていきます。

エグい表現もあるので気を付けてください。

あらすじ

まずは、あらすじをちょっとだけ紹介します。

1993年10月3日。東アフリカに位置するソマリアの首都モガディシオに、100名の米軍特殊部隊の兵士たちが舞い降りた。
彼らの任務は独裁者アイディード将軍の副官2名を捕らえること。当初、作戦は1時間足らずで終了するはずだった。
しかし、2機の最新鋭ブラックホーク・ヘリが撃墜されたことから、兵士たちの運命は一変する。
仲間の救出にあたる彼らは、想像を絶する地獄絵図の真っ只中に取り残されることになった……。

参考:amazon

1時間程で終わる予定だった敵の幹部を捕獲する任務が、2機のヘリの撃墜を機に地獄のような状況に変わるという感じですね。

 

また、この映画は実際に合った戦闘をもとにしています。

モガディシュの戦闘 - Wikipedia

 

英語版ですが、紹介動画も貼っておきます。

www.youtube.com

熾烈な戦闘シーン

本作『ブラックホーク・ダウン』の一番の見どころと言えば、やはり戦闘シーンですね。

 

序盤の約30分ほどの作戦前のシーンがあったと思ったら、すぐに作戦が始まります。

そして、その後はソマリアの首都モガディシュでの熾烈な戦闘が延々と繰り広げられます。

 

仲間や家族とかの回想シーンみたいなのは一切ありません。

ただただ戦います。

そういうウェットな部分が無いことも本作の特徴かもしれません。

 

もちろん、仲間とのつながりを感じるシーンはあるんですが、決してさわやかなものではありません。

淡々と、目の前の惨劇に共に立ち向かうって感じです。

 

で、この作戦がなかなか酷いことになるんですよね。

 

作戦開始時のヘリからのロープ降下で、新兵のブラックバーンが落下して意識不明の重体になったとこから始まり、2機のブラックホークが撃墜されたあたりから戦闘が本格化します。

そして、墜落したブラックホークの乗員の救出に向かった車両部隊が散々な目に遭い撤退を余儀なくされたり、2機目のブラックホークの乗員は救出に駆け付けた2名のデルタの兵士とともに捕虜になった1人を除いて全滅します。

 

この状況の悪化の仕方も凄まじいんですが、何よりも本作の戦闘描写は圧巻です。

 

敵のソマリア人民兵たちが次から次へと現れ、四方八方から攻撃を展開して米軍兵士を追い詰めていきます。

地上から建物の上からとあらゆる方向から撃ってきます。

しかもかなりの至近距離で。

 

アメリカ陸軍のレンジャー部隊とデルタフォースからなる混成部隊がそれを迎え撃つんですが、敵の圧倒的な物量に徐々に押され始めます。

しかも、救援に駆け付けようとした車両部隊は、倒錯する上層部からの命令に翻弄されたり想像を超えた敵の火力に圧倒されて、結局は基地にボロボロになって帰還します。

そして、戦場に残された兵士も次々に撃たれ、倒されていきます。

 

この被弾した時の描写がなかなかエグいんですよね。

普通に体の一部が吹っ飛んだりするし、RPGの弾頭が体を貫通したりします。

挙句の果てには、爆発で下半身が吹っ飛んで”中身”が飛び出てたりしてる・・・

 

食事中には見たくない描写がありったけ詰め込まれています。

この壮絶な戦闘の描写は『プライベート・ライアン』を彷彿とさせますね。

「プライベート・ライアン」感想:戦争の悲惨さ・痛ましさが伝わる映画だった - ブログによる前進

そういった点を含めて、本作も戦争の悲惨さとか痛ましさをよく表現している映画だと思いました。

よくあるエンタメ系の映画とは一線を画す内容になってます。

 

こんな感じで、戦闘シーンが壮絶を極めた映画でした。

状況が一向に好転しない絶望感が脳裏に焼き付きます。

戦っても何も変わらない

そして、結局は車両部隊が駆けつけて撤退は完了するんですが、ここで思うのはこの戦いで何かが変わったのかってことです。

 

エンディングでは、アメリカ軍兵士19名と1000名のソマリア人が死亡したと出てくるんですが、この戦闘で得られたものはそれだけだったんじゃないかと思えました。

しかも、この戦闘の数週間後にはアメリカ軍はソマリアから撤退しています。

 

本作で描かれた戦闘の目的はアイディード派の幹部2名の拉致なのですが、この2人はまったくといっていいほど出てこないんですよね。

強襲作戦の序盤では、幹部の会合に乗り込んで彼らを一網打尽にしているんですが、そんなことはどうでもいいと言わんばかりにこのシーンはすぐ終わります。

 

そして2機のヘリが撃墜され、終わりの見えない市街地戦に突入します。

 

他の映画だとテロリストとかのわかりやすい敵がいて、その中の一番悪い奴を倒して終わりっていう明らかなゴールがあるんですが、本作には明確な打倒すべき”悪役”がいないのが印象的でした。

 

本作は生きて帰るために、目の前に現れるソマリアの兵士たちをただ撃つだけの映画です。

 

そういった観点では、敵の波状攻撃をひたすら耐えしのぐ『13時間 ベンガジの秘密の兵士』っていう映画(こっちも実話が元になってる)と同じような感じでした。

「13時間ベンガジの秘密の兵士」感想:壮絶な戦闘が印象的な映画 - ブログによる前進


このどちらの映画にも共通して言えることは、戦っても何かが変わったりすることはなく、ただ血が流れて人が死ぬってことでした。

仲間のために戦う

戦闘シーン以外にも印象的だったものはあります。

 

それは、作中で一貫して描かれていた”仲間を絶対に見捨てない”という姿勢です。

 

戦闘でどれほど撃たれても仲間を置き去りにして逃げようとする兵士はいませんでした。

それどころか、撃たれたり爆発で吹き飛ばされて死亡した兵士や、吹っ飛ばされて道に落ちた誰かの腕ですら連れ帰ろうとします。

 

そして、極めつけは終盤のフートというデルタフォース隊員の言葉、「俺たちは仲間のために戦っている」です。

 

こういった戦争物の映画ではよく”仲間のために戦う”ってことを表現していますが、その中でも本作はそういったことを一貫して、しかも淡々と描いているなと感じました。

 

本作以外で仲間のために戦うってことが描かれている映画は『ネイビーシールズ』とか上で挙げた『13時間 ベンガジの秘密の兵士』とかがありますが、そういった映画でも仲間のために戦うという表現はそこまで多くありません。

 

前者では、ストーリー終盤で部隊のリーダーであり主人公でもあるロークが仲間を庇うためにグレネードに覆いかぶさって犠牲になったり、後者ではGRSの隊員たちが上司の反対を押し切って襲撃された領事館の救援に駆け付けます。

 

ですが、仲間のために戦うことを表現しているシーンはその他にそこまで多くなかったような印象です。

 

それに対し、本作では上に書いたような死体や体の一部すら持ち帰ろうとするといった表現のほかにも、味方をかばって撃たれたり、墜落したヘリの乗組員を救助するためにソマリア人が何十何百と殺到するエリアにたった2人でデルタの隊員が駆けつけるシーンなどがあります。

 

また、ケガをしてギプスをはめた兵士がギプスを取ってまで出撃しようとするシーンもありました。

 

他にも、一度撤退した車両部隊が残された味方の救出のために再出撃する際に、「もう行きたくない」と言っていた兵士が、仲間に「誰も行きたくなんてないさ。大事なのは、そういったときにどう行動するかだ」みたいなことを言われ、最終的には決意して車両に乗り込んで行くシーンなどがあります。

 

こういったシーンの兵士たちのなかにあった考えは、「俺たちは仲間のために戦っている」っていう言葉に集約されるんじゃないかと感じました。

英雄は誰なのか?

よくある戦争を描いた映画やゲームには、主人公みたいなわかりやすい英雄の存在があるんですが、本作にはそういった明確な英雄は存在しません。

 

例えば、『ホースソルジャー』っていう映画(これも実話)があるんですが、こちらはテロと戦うグリーンベレーという英雄を描いた映画です。

「ホースソルジャー」感想:騎馬戦の躍動感が印象的だった※ネタバレあり - ブログによる前進

 

この『ホースソルジャー』という映画では、キャッチコピーにもある通りたった12名の兵士たちが数万の敵との戦いを繰り広げ、最終的には敵の幹部を倒して無事に勝利を勝ち取ります。

彼らは間違いなく英雄でしょう。

 

しかし、『ブラックホーク・ダウン』にはそういった目立った成果みたいなものは無ければ、1人や少数の目立った成果を上げた英雄もいません。

 

本作で描かれていたのは、仲間のためにただ黙々と戦っている兵士たちでした。

特定の人物が、状況を一変させる英雄的な成果を残しているようなシーンは全くありません。

 

もちろん、仲間をかばって撃たれた兵士や、墜落したブラックホークの乗員の救出に向かった2名のデルタフォース隊員みたいな勇気ある人々はいました。

 

だけど、本作で描かれるそういった勇気のある人たちはあまりにも多く、一概に、彼こそが英雄だといえるような人物はいないと感じました。

 

劇中の言葉に「なろうとして英雄になるんじゃない。結果としてそうなるだけだ」みたいなものがあったんですが、味方をかばって死んだ兵士は結果として助けられた兵士にとっての英雄になっていると思います。

 

また、上記の2名のデルタフォースの隊員は、墜落したブラックホークの乗員からしたら英雄だったかもしれません。

 

でも、彼らがほかの人たちにとっても英雄かどうかはわかりません。

 

このような感じで、本作にはわかりやすい英雄といったものが存在しません。

最後に:淡々と戦争を描いた映画

以上が『ブラックホーク・ダウン』の感想です。

 

淡々と戦場を描いていて、他の戦争映画とは一味違った映画でした。

「戦争 映画 おすすめ」とかで検索すると出てくる大体のサイトで挙げられている理由がわかったような気がしました。

 

エグい表現が多いので万人におすすめできる映画ではありませんが、見て損はしないはずです。

良かったら観てみてください。

こちらの映画もオススメです!!

www.polsk-blog.com

www.polsk-blog.com